保険適用の矯正治療

保険適応の矯正治療には、顎変形症により外科手術を併用する矯正治療と②先天性疾患の矯正治療の2つがあります。

①顎変形症により外科手術を併用する矯正治療

● 著しい受け口(下顎前突)や出っ歯(上顎前突)
● 上下の歯が咬み合わない不正咬合(開咬)
● 顔が曲がっている不正咬合(交叉咬合)

 

顎が大きく出てしまったり、逆に引っ込んでしまったり、顔面の変形や咬み合わせの著しい異常を起こしている症状を、「顎変形症(がくへんけいしょう)」と呼びます。不正咬合には歯を動かして並べ替える矯正歯科治療単体で改善できるものと、あごのずれが大きい顎変形症など矯正歯科治療だけでは改善できないものがあります。軽度の場合は矯正治療単体でも改善することはありますが、重度になるとあごの切離手術を必要とします。外科的矯正治療を行う場合は、手術だけでなく手術前後に行う矯正治療にも健康保険が適用されます。

 

矯正治療に健康保険が適用できるのは、顎口腔機能診断施設として認可された医療機関に限られます。当院は、顎口腔機能診断施設として認可されています。

顎変形症と診断されても外科手術を併用せず矯正単体で治療する場合は保険が適用されませんので、ご注意ください。

②先天性疾患の矯正治療

先天疾患に起因する咬合の異常に対して健康保険が適用されます。先天異常に起因する咬合異常があり、その先天性疾患が原因となって生じていると考えられる、かみ合わせや歯ならびの異常がある場合において適用されます。

 

保険適用となっている先天性疾患

1)唇顎口蓋裂
(当院は川崎医科大学附属病院岡山医療センターの口蓋裂外来と連携しています。口蓋裂の赤ちゃんに必要なホッツ床の型どり、製作、成長期の矯正治療を行なっています。)
2)ゴールデンハー症候群(鰓弓異常症を含む)
3)鎖骨・頭蓋骨異形成
4)トリーチャーコリンズ症候群
5)ピエールロバン症候群
6)ダウン症候群
7)ラッセルシルバー症候群
8)ターナー症候群
9)ベックウィズ・ウィードマン症候群
10)ロンベルグ症候群
11)先天性ミオパチー(先天性筋ジストロフィーを含む)
12)顔面半側肥大症
13)エリス・ヴァン・クレベルト症候群
14)軟骨形成不全症
15)外胚葉異形成症
16)神経線維腫症
17)基底細胞母斑症候群
18)ヌーナン症候群
19)マルファン症候群
20)プラダーウィリー症候群
21)顔面裂
22)大理石骨病
23)色素失調症
24)口-顔-指症候群
25)メービウス症候群
26)カブキ症候群
27)クリッペル・トレノーネイ・ウェーバー症候群
28)ウィリアムズ症候群
29)ビンダー症候群
30)スティックラー症候群
31)小舌症
32)頭蓋骨癒合症(クルーゾン症候群、尖頭合指症を含む)
33)骨形成不全症
34)口笛顔貌症候群
35)ルビンスタイン-ティビ症候群
36)常染色体欠失症候群
37)ラーセン症候群
38)濃化異骨症
39)6歯以上の先天性部分性無歯症
40)チャージ症候群
41)マーシャル症候群
42)成長ホルモン分泌不全性低身長症
43)ポリエックス症候群
44)リング18症候群
45)リンパ管腫
46)全前脳(胞)症
47)クラインフェルター症候群
48)偽性低アルドステロン症(ゴードン症候群)
49)ソトス症候群
50)グリコサミノグリカン代謝障害(ムコ多糖症)
(2016.4月改定)

矯正歯科治療が保険適用される施設基準

矯正歯科の看板を掲げている、すべての歯科医院で矯正歯科治療に対して保険適用されるわけではありません。
かなお矯正・小児歯科クリニックは、厚生労働省が指定する顎口腔機能診断施設自立支援医療機関(育成医療・更生医療)として登録されています。

自立支援医療制度(育成医療・更生医療)について

唇顎口蓋裂の患者様は、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度がご利用できます。

育成医療

●育成医療対象者:18歳未満の児童

●育成医療の申請について
自治体ごとに所定の書類がありますので、各市、区等に問い合わせて下さい。
提出する書類の一つに、当院で作成した意見書が必要となります。受診の際にお申し出下さい。

更生医療

●更生医療対象者:18歳以上で身体障害者手帳の交付を受けた方。
所得によって異なりますが、育成医療や更生医療を申請された唇顎口蓋裂の患者様は、自己負担額が原則1割となり、1ヶ月の自己負担額の上限もあるため、医療費の軽減を行う事ができます。育成医療や更生医療の給付を扱うことができるのは指定自立医療機関となりますが、当院は指定医院となりますので、唇顎口蓋裂の患者様は受信の際にお申し出下さい。

●更生医療の申請について
身体障害者手帳(そしゃく機能障害4級)の交付を申請することになります。
唇顎口蓋裂の場合、当院で作成した「身体障害者診断書・意見書」の書類が必要です。その意見書を作成できるのは、身体障害者福祉法第15条に基づく指定医師となりますが、当院は指定歯科医の認定も受けておりますので、18歳以上の唇顎口蓋裂の患者様は受診の際にお申し出下さい。