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小児期の矯正治療で重要な「咬合誘導」
小児期の矯正治療においては、「咬合誘導(こうごうゆうどう)」の概念をもって治療を行います。
咬合誘導とは、「子どもの噛み合わせを育てていく」という考え方のことです。しっかりとした噛み合わせ育てることで、正常な口の機能を獲得することも可能になります。
そのため、咬合誘導が必要と判断される場合、簡単なトレーニングを始めたり、 早い段階から矯正治療をスタートしたりする場合があります。
なぜなら、咬合誘導を行うタイミングを逃してしまうと、噛み合わせを悪くなるだけでなく、健全な口の機能を獲得できない可能性があるからです。
咬合誘導は2段階に分けて治療する
咬合誘導の治療は、前半と後半の2段階に分けて行います。
小児期に行う前半の治療のことを、「第 Ⅰ 期治療」または「前期治療」といいます。第 Ⅰ 期治療を行ったあと、永久歯が生えそろってからおこなう後半の治療のことを、「第 Ⅱ 期治療」または「後期治療」といいます。
「咬合誘導(こうごうゆうどう)」
重度の受け口のケースは、子供が3歳になった時点で咬合育成治療を開始する場合があります。 |
咬合育成において最も適切な時期は、上下前歯が永久歯に交換する頃です。 |
永久歯が生えそろった後、本格的な矯正治療で仕上げを行います。 |
第 Ⅰ 期治療を開始するタイミング
第 Ⅰ 期治療は、上の前歯が永久歯に交換するタイミングで開始します。
そのため、女の子であれば7歳くらい、男の子であれば8歳くらいが第 Ⅰ 期治療を開始する最適な時期になります。
なぜ、この時期に第 Ⅰ 期治療を行うのかというと、この時期より極端に早く治療を開始すると治療期間が極端に長くなってしまうからです。
逆に、この時期より極端に遅く治療を開始してしまうと、第 Ⅰ 期治療が間に合わなくなってしまう心配があるからです。
重要|重度の受け口は、早めに治療開始する
第 Ⅰ 期治療は、お子さんが小学校1〜2年生になったタイミングで開始することが一般的です。
しかし、受け口が重度のケースや下アゴの歪(ゆが)みが認められるケースでは、第 Ⅰ 期治療を早期に開始する必要があります。なぜなら、 重度のケースをそのまま放置すると、受け口や下アゴの歪みが深刻化するリスクが非常に高いからです。
そのため、受け口や下アゴの歪みがある場合、お子さんが3〜4歳になった段階で専門家の診察を受けることが大切であるといえます。 ➡ もっと詳しくみる
当クリニックで、咬合誘導治療を行った男の子の事例(治療開始当時 7歳)
「前歯がガタガタの歯並びになっている」
「歯ならびが、これ以上悪くならないように治したい」
問題点
上下アゴ骨が狭く、V字のカタチになっている。
前歯が整列できず、ガタガタ歯並びになっている。
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治療内容(治療期間:1年6ヶ月)
①上下アゴ骨を広げて、U字のカタチに整える。 ➡ 舌が自在に動くよう口の中を広くする
②拡大したアゴ骨に、前歯をキレイに並べる。 ➡ 正しい発音ができる位置に前歯を並べる
③舌のトレーニングを行う ➡ 舌の正しい動きを身につける
矯正前 | 上アゴ | 下アゴ |
矯正中 | 上アゴ | 下アゴ |
矯正後 | 上アゴ | 下アゴ |